けんけんの数学日記

数学好きの大学院生が個人的に面白いと思った問題などを解いていくだけの世界線。

四月の東進数学コンクールについて

お久しぶりです。今月の東進数学コンクールについて解説します。まず、問題は次のようなものでした。

https://www.toshin.com/sp/concours/

時間が経つとサイトが変わるがしれないけど、

a_(n+2)=a_(n+1)+a_n/nとなる数列が収束する条件を求めます。

この問題、製作者がどういう意図で出したのかは知らないですが、高3なりたての人がこれを解くのはかなり難しそうな印象がありました。

とりあえず色々試すのですが、それ以前にまずb_n=nが上の漸化式の条件を満たすことと、上のような漸化式は二種類の一次独立(大学数学やってない人は平行じゃない感じの数列二つ求めると思ってくれるといい)な数列見つけたらそもそもa_nが表現できそうってなるわけですね。

そういうことを考えながら色々いじるのですが、この問題、a_m>0かつa_(m+1)>0みたいになるとそのあとa_nが発散しそうなことが予測がつきます。それ故、a_nは常に正負を行き来しないといけません。そういうことを踏まえてa_1=1,a_2=λとかにすると、a_n=p+qλ(pとqは有理数)みたいな形で表せます。こうすると、a_n=0になるp,qの比率みたいなのを考えると、q/pの絶対値はだいたいe-2に近づくことがわかります。これと、もともとp_n=nが上の漸化式を満たすこととかを考えたらだいたいΣ(-1)^k/k!みたいな形が出てくることが予想できます。ただ、今回の場合単純にa_n=Σ(k=1〜n)(-1)^k/k!とかを入れても上手くいきません。で、じゃあどうするかをもう一度考えると、1/nの負荷とかがやっかいだなみたいな感じに思うので、色々試したらp_n=nΣ(k=1〜n)(-1)^k/k!が上の漸化式を満たすことがわかります。

これらから、nとnΣ(k=1〜n)(-1)^k/k!を組み合わせた数列にa_nはなります。あとは、nΣ(k=1〜n)(-1)^k/k!〜n/eくらいになることに注意してやると、a_2=2-eが答えになることがわかります。

あんまり解析の要素はなく、表現の仕方の問題でしたね。基本的に数学勘で数列当てたのですが、eが出てくることとa_nの符号がひっくり返るみたいな話を踏まえたらΣ(-1)^k/k!がらみの式が出てきそうっていうのは割といろんな式に触れてたら出てくると思います。

解答はこちら、かなり色んな実験が省かれてるから解答自体はコンパクトになってます。

f:id:kenken-math-0604:20190408214102j:image

f:id:kenken-math-0604:20190408214113j:image